【演劇】佐久穂公演レポート「現実と夢の狭間にあるようなトランクシアター 熱気と猛暑の中、佐久穂で大千秋楽」


2018/10/06 (土) 更新

【演劇】佐久穂公演レポート「現実と夢の狭間にあるようなトランクシアター 熱気と猛暑の中、佐久穂で大千秋楽」

トランクシアター佐久穂プロジェクトは、佐久穂町公民館と共催し、「真夏の夜の物語」と題して、ジャズコンサートや美術館の夜間開館と同時に行いました。

このエリアでは、民間と大学による建物の保全活用による活動が6年にわたり行われており、過去には写真展やパントマイムなども行われてきました。

信州大学経法学部武者ゼミの学生によるcafebarとジャズコンサートは、その昔銀行として利用されていた建物で行われました。1階では、大学のゼミによるこれまでの活動が写真によって紹介され、このイベントに辿り着くまでの経緯を知ることが出来ました。

東を向けば河岸段丘の林と古い街並が、西を向けば八ヶ岳が望める元銀行の2階でジャスコンサートが行われ、その眺望と音楽を同時に楽しむ贅沢な時間となりました。

トランクシアターは昔の味噌醤油店の売場を利用して上演されました。超満員となった会場は、普段は土間が広がり夏でもヒンヤリとする部屋なのですが、この日は猛暑の名残と会場の熱気が空間を支配しました。

昔の醤油店の売場が演劇場へと変わり、非日常となった空間では、多くの人たちが「串田ワールド」に引き込まれ、いつの間にかすべてての人々がどこにいるのかすら忘れるような感覚に陥る、そんな時間が過ぎていきました。

街並景観を守りたいと思い活動をしてきましたが、演劇に興味がある多くの方々にお越しいただき、さらにこの建物の良さも知っていただけたのではないかと感じています。

アフタートークでは、普段は夜間開館していない奥村土牛記念美術館で行われ、トランクシアタープロジェクトの千秋楽となった佐久穂での様子はもちろん、この夏の公演すべてを振り返る時間となりました。


トランクシアターは、空間を一気に作り出し、この演劇の独特の魅力で人々を魅了し、そして一瞬で去って行き、何も無くなったあとに、「またここで…」と思わせる何かを感じさせる。そんな現実と夢の狭間にあるような事業であるのではないかと感じました。

これまで多くのイベントを受け入れていただき、建物の利用にご理解をいただいた旧マルト黒澤醤油店のご家族の皆様には感謝の気持ちしかありません。
そしてご協力いただきました関係者及びスタッフの皆様に心より厚く御礼申し上げます。

文:井出正臣(トランクシアター佐久穂プロジェクト実行委員会 委員長)

長野県芸術監督団事業トランクシアター・プロジェクト2018
トランクシアター地域プロジェクトは、長野県芸術監督団事業と地域の実行委員会の皆さんとで協働で作り上げるプロジェクトです。
『或いは、テネシーワルツ』についての情報は以下のページをご参照ください
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